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フィレンツェ編4

ロレッタ・カポーニ


Z子の悲劇 ~フィレンツェ編4~


イタリアやフランスを旅行して感動することのひとつは、ホテルの部屋の美しさです。どんな小さなホテルでも、日本では見たこともないような壁紙やカーテン、ベッドカバーなどの柄の斬新さ、デザインのおもしろさで部屋がコーディネートされているのです。そして、ショッピングでも日本ではなかなかお目にかからないようなテーブルクロスや枕カバーなどのリネン製品や刺繍モノを見たり、買ったりするのが楽しみなのです。

ある旅行の前に、Z子とぼくは、Z子のお母さんから「フィレンツェに行ったら、ここの刺繍店でテーブルクロスとランチョンマットを買って来てちょうだい。」と、雑誌の切り抜きを渡されたのです。その切り抜きは婦人誌のカラーページで、きれいな刺繍作品の写真とそのお店の絵地図が載っていました。地図の下には住所も記載されています。これだけの情報がそろっていれば簡単だと思って、「ガッテンだ!」の一言でZ子とぼくは引き受けて、フィレンツェへと旅立ったのです。

その刺繍店の名は「Loretta Caponi(ロレッタ・カポーニ)」と言い、住所は'Piazza Antinori'(アンティノーリ広場)、絵地図を見てもその時泊まるHotel De la Ville (ホテル・デラ・ヴィッレ)にとても近いので、Z子のお母さんからの頼まれモノを手に入れるのは楽勝ムードだったのです。

フィレンツェに着き、タクシーでホテル・デ・ラ・ヴィッレにチェックインしてみると、ホテルのすぐ近くにアンティノーリ宮殿という歴史的建造物があり、この辺りをひと回り探せばロレッタ・カポーニは見つかると甘く見ていました。翌日、ショッピングへ出かける際に気楽な気持ちで歩いてみたのですが、ロレッタ・カポーニという店は見つからず取りあえず他の用事を済ませて帰りに又探そうと言うことになり、ショッピングと昼食のためにその場を離れました。昼食を済ませてから、またアンティノーリ宮殿辺りに戻ってみました。しかし、アンティノーリ宮殿はあっても、Piazza(=広場)らしきものはどうしても見つかりません。その辺りの薬屋やデリカテッセンに入り、店員に聞いてみてもだれも店の名さえ知らないし、ちょうど通りかかったパトカーのおまわりさんに聞いてみてもPiazza Antinoriという広場は存在しないとおっしゃるのです。あたりも暗くなり始め、さすがのZ子も「ミセス誌の記事が間違ってるんじゃないの!?」と言い出し、お母さんには悪いけどあきらめて帰ることにしました。

ホテルの部屋に荷物を置いた後、「きょうは疲れたね。美味しいものでも食べに行こうか。」とホテルのロビーを出発する際に、最後にフロントでロレッタ・カポーニを尋ねて見ました。すると、返ってきた答えは「イエス!このホテルの建物の中にあります。」
な、な、なんと!ロレッタ・カポーニはこのホテルの中にあったのですよ。道ばたで聞いてもみんなが知らないわけです。ホテルに入っているくらいですから、この店のホームリネンは超高級品で、普段地元の人が気軽に使えるようなものではなく、だから、薬屋のおばちゃんやデリカテッセンのおねえちゃんに聞いても知らないはずなんです。Z子とぼくは、Z子のお母さんに頼まれた目的のテーブルリネンを無事購入して、帰国の途についたのでした。

このホテルのビルディングは、むかし存在したアンティノーリ広場の上に後年建てられたものらしく、ですから、広場はなくなっても建物の住所は今でもPiazza Antinori だったのです。

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