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ベニス編1

マルコ・ポーロ空港


Z子の悲劇 ~パリ→ベニス編1~


アリタリア航空のファーストクラスでベニスのマルコ・ポーロ空港に到着したZ子とぼくは、ファーストクラスの特権で誰よりも早く到着ゲートを出ることができました。麻薬犬の審査もクリアしてターミナルの外に出ると、目の前にはローマ広場行きの路線バスが停車していて、「渡りに船」とばかりにそのバスに飛び乗ったのです。

ご存じの通りベニスの観光の中心は、ラグーナという人工的な島で、列車でサンタ・ルチア駅に到着しない限り、島へ渡るのには色々な交通手段を利用しなければなりません。空港からは、水上バス、水上タクシー、シャトルバス、路線バスがあり、バスは島の入り口のローマ広場まで行ってくれます。(ゴンドラでは、島まで渡れません。)
本当は水上バスで島へ渡るのがベニスらしい交通手段で、「渡りに船」の言葉にぴったりなのですが、料金が高い上に時間がかかるのでZ子とぼくはバスをチョイスしました。


誰よりも早くバスに飛び乗るというあまりに順調なベニス入りのため、パリから着いたばかりのZ子とぼくは、路線バスに乗った後で2人ともイタリア通貨を1リラも持っていないことに気が付いたのです。両替所に寄ることを思いつく間すらなかったため、バス代が払えないということなのです。フィレンツェに続いてのバス・トラブルです。Z子はこの時、昔読んだガイドブックに「バスのタダ乗りは重罪」と書いてあったことを思い出して、落ち着きを失っています。ぼくは「どこまで乗っても、タダ乗りはタダ乗り。罪の重さは変わらないだろうから、ローマ広場に着いて考えよう!」とZ子を説得し、「取りあえず、景色でも楽しもう!」と、窓の外に目を向けました。全長3km以上もありそうなリベルタ橋からの景色は、ベニス以外では味わえない珍しいものでした。

リベルタ橋を渡るとバスは遂にローマ広場に到着してしまい、少ない乗客の中でひときわ目立つ大荷物を持ったオリエンタル2人の運命はどうなったのでしょうか。

一般的イタリア人に英語が通じないことは、今までの経験でわかっていました。「説明してもわかってもらえそうにないし・・・。みんなの列について行こう。そして、何か言われたら交渉しよう。」と、心を決め、運転手から遠い方の後ろ側のドアから降りました。バスを降りたところで運転手氏を振り返り、ニッコリ微笑んでみました。すると、運転手氏もニッコリと微笑みを返してくれます。「バス代、払わなくても大丈夫みたい・・・。」 こう察知したぼくは、運転手氏へ手を振って見せる余裕を披露しながらヴァポレット(運河の水上バス)の乗り場へ向ったのでした。運転手氏の視線を気にしながらも、悠然とした態度で・・・心の中は急ぎ足で・・・。

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