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ニューヨークの偉大なる出会い



ダスティン・ホフマン&パールマン

「出かける時は忘れずに!」とは、アメリカンエキスプレスカードのテレビCMでのジャック・ニクラウスの有名なセリフであります。英語では、“Don ’t leave home without it !”と、なります。文中の“it”は、アメリカンエキスプレスカードのことを指します。と、入試問題の解説のようなフレーズはこれくらいにして・・・・・。

 ぼくのニューヨーク苦学生時代、アメリカではあの大ヴァイリニスト、イツァーク・パールマンがこのセリフでテレビCMに出演していました。ニューヨークに着いたばかりのぼくは、アメリカでのクラシック音楽ファン層の広さ、深さに感心させられましたが、さらに、感動的な出来事がぼくの身に起こったのです。

 留学当初、ぼくはジュリアード音楽院に通いながら、ウエストサイドの日本料理店でウェイターのアルバイトをしていました。その小さな料理店に、なんと!あのミスター・ヴァイオリン、パールマン先生がお客さんとしていらっしゃったのです。友人らしい男性と2人でテーブルにつき楽しそうに音楽の話をしています。ぼくは彼らのテーブルの給仕を申し出て、パールマン先生に仕えることになりました。お二人は「チキン照焼」と「すき焼き」を注文し、食されたように記憶しています。食事が終わり、日本での演奏会のことをきっかけに、ぼくは思いきって話しかけました。日本でパールマン先生のバックオーケストラを務めたこと、今音楽の勉強に来ていること、彼からは日本の思い出、ジュリアード音楽院の学生時代の話とアドバイス、そして最後にサインをいただきました。そのとき、パールマン先生が、「ぼくの友達のサインは、いらないのかい?」と、彼の連れの男性の方を見ながらおっしゃいます。「失礼ですが、どなたですか?」と、ぼく。「ダスティン・ホフマンだよ!」「・・・・・・」

サインはダスティン・ホフマン(上)とパールマン(下)
 その日から、ぼくとダスティンのつきあいが始まるのですが、ちょうどその頃オフだったのでしょう、ダスティンは毎日のようにぼくの勤める料理店やって来て「今日は何時間練習したか?」とか、「モーツァルトの音楽のどんなところが好きか?」「ベートーベンの音楽は不自然に思わないか?」などと話しかけてくるのです。ほんとうに音楽が好きなんですね。ぼくが「今日は2時間しか練習してない。」と言うと、「そんなことでは、成功者になれないぞ。」と説教が始まるのです。

 やがて、映画「トッツィー」の撮影が始まりダスティンの足も遠のき、その料理店も脱税が明るみに出て閉店。ぼくとダスティンの接点はなくなってしまいました。が、ぼくにはダスティンとの密度の高い会話の思い出とサイン帳が残っているし、ダスティンもミュージシャン(またはウェイター)の“ 日本人”のことを忘れてはいないでしょう。・・・ぼくは、信じています。

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