桐朋学園音楽部門九州同窓会

音楽の生得性について

 地球上のいろいろな動物たちには聴覚や音を認知する能力が備わっています。ヒトの場合もほかの動物と同じように、生まれながらに音を聴くことができます。聴覚の活動は胎児の頃から始まっていて、原始的なレベルではありますが生まれてすぐから皮膚等の触感覚と同様に反応を示しはじめます。そして、大人と同じような音が脳の聴覚中枢に届くようになるのは、生後3ヶ月頃と推測されます。脳細胞の聴覚情報伝達メカニズム(シナプス)の形成もこの頃に最大レベルに達し、「①音や声を聞く」ことがきちんとできるようになります。
 6ヶ月頃になると、母親の声を聴き分けることや子守歌やBGMなどの音楽で夜泣きがおさまるように、「②音程やメロディを聴く」ことができるようになります。遺伝子情報として持って生まれた能力が、自然な環境の中で育ったということになります。
 やがて、1歳を超えると、音楽を覚えたり聴き分けたりできるようになります。親や兄弟などの家族がいつも練習したり聴いたりしている曲に、全く別の環境でも認識し、反応するという実験結果があります。2歳頃からは自然と音楽のリズムやテンポに合わせて手や体を動かしたり、また、音階や音程の知識がないにも関わらず歌を覚えて歌ったりします。これらの人間の音楽能力は人間の持つ音楽の生得性の現れと言えるでしょう。



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